STILL CRAZY

病気と芸術のギリギリをゆく

某家電量販店を辞めて良かった話 

 

今から3.4ヶ月前のことになる。

新卒で入社した某家電量販店を辞めた。

理由は色々あるが、総合的に「やっていけない」と判断したからだ。

 

理由はともかく、家電量販店の業務は忙しい。忙しいにも関わらず、人がいない。派遣やアルバイトを大量投入することでやっと開店と閉店を繰り返している。

 

新卒という括りで入ったものの、僕が入社したのは8月くらいだ。家電量販店に面接をしに行ったのではなく、家電量販店に派遣する会社に入ったのだ。いわゆる、アウトソーシングと呼ばれるやつだ。

ずいぶんカッコいい横文字を並べたもんだ。

 

某家電量販店のカメラコーナーに配属された僕は、特にこれといった説明を受けるわけでもなく、「じゃあ、やってみよっか!」という感じで売り場に立たされる。

 

内心「え…?」という感じである。

カメラを触ったこともない僕が、カメラを売るのだから。笑 

 

とりあえず、人気な機種から覚えていった。

小型で高画質のGoproである。それに対抗して作られたオズモアクションも。

 

なんとか接客をできるようにはなったが、いっこうにセミナーなどは開催されない。売り場に出て適当にポップを眺めてみるが、たいして面白くもない。

 

僕は少しだけ鬱になった。

抗うつと診断された。それは、いつものように目覚ましをかけて、起きようとしたはずの朝だった。

むっくりと目を覚ますと、時刻は予定を過ぎていた。「あー…」というずっしりと重いため息をつく。「やっちゃったなあ…」僕はもう吹っ切れていたから、特に慌てることもなかった。

でも、職場には一報入れなければならない。適当な嘘をついた。病院に来ているんですけど混んでるので遅れますみたいな。でも、どうせ後からバレるんだったらいっそのこと白状した方がいいとも思った。

「寝坊しました…」

けど、本当にここ最近は微熱を感じていた。内心、病院で診断書を書いてもらって退職しようと考えていた。

ストレスっていうのは、案外目に見えないところで蓄積されている。自分は平気なつもりでも、ぽきっと折れてしまうときがくる。

あの日がそうだった。

 

上司に電話を入れた。普通に怒られたけど、病院には行けば?という感じだった。

「やめてー…」という感情しかなかった。

 

結果、やめることができた。職場の人間とも二度と顔を合わせなかった。元々カメラなんて興味ないし、ゴキブリみたいな色をしていて、全然カッコいいと思わない。しかも高い。iPhoneでいいじゃん、と思ってしまう若者肌なのだ。

 

やめることはできたけどあまりにも急すぎたので、次の職場も決まっていなかった。

正社員というこだわりはなく、音楽をやりたい気持ちもあって、どうにも気が乗らなかった。

 

次の職場は案外早く決まった。

なんとなく、地元の地名とアルバイトだの派遣社員だの検索をしてみたら、それとなく良さそうなところがあったので応募してみた。

そこは短期の仕事だった。

マックで待ち合わせをして、そこで面接をした。面接中に「他の仕事もあるんですけど興味ありますか?」と言われた。

 

僕に紹介してくれたのは事務だった。始めてみたら事務というよりはコールセンターに近いものだったが、面倒見がいいというのはそのままだった。

「この会社さんは面倒見がいいんです」営業の人がそう言ってきた。

 

業界とか業種とか色々あるけど、結局は人だと思う。どんだけボーナス良くても、嫌な人がいたら辞めたくなる。正社員がどうとか、3年は続けなさいとか、全部他人事でいい。たぶんなんとかなる。