2019-02-24 散文① よだれのように垂れた氷柱 夏の匂いが残ったカーテン 東京のビル街 地下の排水溝で溜まる やくざな言葉 忍者のように消えた女 タイトルのない本に込められた スープよりも濃い一行 悲しみの海に浮かぶヨット 窓から見えるマンション 排気ガスにまみれた鳥の行方 捨てられたタバコ 手を繋ぐ子供 花が種落とすアスファルト 通り雨でできた小さな池に トンボが卵を産む 生産性のない行為は美しい この夜を越えるための言葉が欲しい 形のないものに救われる 吐き出したいこの感情に せめてもの名前を付けて ゴミと一緒に燃やしてしまおう 灰色の言葉 星の散らばる夜空 ダイヤモンドよりも美しいあなた