STILL CRAZY

病気と芸術のギリギリをゆく

散文①

 

 

よだれのように垂れた氷柱 

夏の匂いが残ったカーテン 

東京のビル街

地下の排水溝で溜まる

やくざな言葉 

忍者のように消えた女 

タイトルのない本に込められた 

スープよりも濃い一行

悲しみの海に浮かぶヨット

 

窓から見えるマンション

排気ガスにまみれた鳥の行方 

捨てられたタバコ 

手を繋ぐ子供 

花が種落とすアスファルト

通り雨でできた小さな池に

トンボが卵を産む 

生産性のない行為は美しい

 

この夜を越えるための言葉が欲しい

形のないものに救われる

吐き出したいこの感情に

せめてもの名前を付けて

ゴミと一緒に燃やしてしまおう 

 

灰色の言葉

星の散らばる夜空

ダイヤモンドよりも美しいあなた